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現代社会におけるリアル「新国民病」“一人癒やし”としての依存症【医療法人社団 光風会 三光病院】

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※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

それは、誰かに迷惑をかけるためではない。今日一日をなんとか終えた自分を、そっと癒やすための時間であったはずなのにー。

「依存症」と聞くと、アルコールや薬物、ギャンブルなどを連想して、「自分には関係ない」と思うことでしょう。しかし近年では、インターネットの普及によるスマートフォン(スマホ)やパソコンなどの端末利用があらゆる世代に浸透し、SNSやオンラインゲームなど、日常生活にあるものが依存の対象になり得るリスクを抱えています。このような時代背景においては、さまざまな依存症を、単に「個人の問題」ではなく「社会の問題」と捉えた上で向き合っていく必要があります。そこで、精神科医として長年にわたり依存症の治療に携わってきた、三光病院の海野順院長に話を伺いました。

プロフィール

香川県依存症治療拠点機関 医療法人社団光風会 三光病院 院長 海野 順

2009年、金沢医科大学医学部卒。大阪府の医療機関で依存症の臨床経験を積み、 2016年より三光病院に勤務。2019年3月に 同病院院長、2024年3月に理事長に就任。

精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医
子どものこころ専門医・指導医
日本アルコール・嗜癖関連問題学会 理事
中国四国アルコール・嗜癖関連問題学会 副理事長
香川県ギャンブル等依存症対策連携会議委員
厚生労働省 地域におけるアルコール関連問題への対応と医療との円滑な連携に関するガイドライン検討委員

”確実に効く“からこそ、やめにくい

依存症は、もはや一部の人だけの問題ではなく、誰にでも起こり得る病気です。「分かってはいるけれどやめられない」状態に心と体が支配され、結果として生活や健康、対人関係などに深刻な支障をきたす場合があります。その背景には、個々の人生に根ざした物語があり、単なる「意志の弱さ」としてだけでは説明できない、複雑で重層的な現実があります。

例えば、眠れない夜。不安が頭の中をぐるぐる回り、誰にも言えない疲れが胸に沈んでいる。そんな時、スマホを開けば世界は明るい。ゲームを起動すれば勝敗がある。インターネットで買い物をすれば翌日には届く。お酒を飲めば心が緩むー。つまり”一人癒やし“は不安や疲れに確実に効く薬となると同時に、手放しにくいものとなるのです。

 

依存症は、特別な人だけでなく「やめたくても、やめられない」病気 

多くの人は、「依存症」という響きにどこか遠い世界のイメージを持っています。ところが、現代社会における依存症は、もっと静かに、もっと身近に始まるものです。初めは、ほんの少しの習慣だったことが、「疲れたから今日はこれくらい」「明日からは控えよう」そう思いながらまた同じ繰り返しになり、だんだんと何かにのめり込みブレーキが効かなくなっていきます。やがて「分かっているのに、やめられない」状態に陥り、これまでの生活が維持できなくなる状態に陥ります。

依存症は、「進行性の病気」です。重症化すると、身体的・精神的にも健康を損ねるだけでなく、生活費を依存対象に費やして経済的に困窮したり、仕事を続けられず、社会的役割を失ったりするケースも珍しくありません。

 

依存症は、意志の弱さではなく 「工夫」が暴走する状態

依存症は、決して「意志の弱さ」や「堕落」、「性格の問題」で起こるものではありません。私たちが生きる現代社会には、不安、疲れ、孤独感、つらさなど心に負担がかかる要因が溢れています。依存症の本質は、「快楽を得る」のではなく、「不快を避ける」ために続けてしまうことにあります。つまり、日常生活の中で、苦しさを紛らわす手段として身につけた癒やし行動としての「工夫」が手放せなくなり、いつの間にか生活を支配してしまう状態になるのです。

 

コロナ禍を契機にアルコール習慣が 増えた人は要注意

2020年の新型コロナウイルスの蔓延により、娯楽を奪われ自宅で過ごす時間が多くなった中、「巣篭もり需要」で増えたものの一つがアルコール。飲み会の自粛で酒量が減った人がいる一方、家飲みが広がり、飲酒が習慣化した人もいるでしょう。令和5年度の高松市健康都市推進ビジョンの調査では、生活習慣病のリスクを高める飲酒者の割合が、令和3年度には、前年度の倍に増えました。

 

外出制限が解除された後も、その傾向が高止まりしている様子が伺えます。特に、女性が増加傾向にあることが気がかりです。アルコール依存症になると、飲む量を自分でコントロールできなくなります。家族や周囲の人も軽く考えず、異変に気づいたら医療機関や支援団体の助けを求めることが重要です。

 

依存症は、現代の「新しい国民病」

現代社会は、お金さえあれば欲しいものがすぐに手に入ります。そう、現代は「依存症製造社会」とも言える時代です。特別な人が何かに依存するのではなく、誰しもが便利なモノやサービスに支えられながら人生を送っているのです。その延長線上に、依存症があるだけなのです。

依存症は、現代の「国民病」と言えます。一部の人だけでなく、現代人の誰もが発症の恐れがある病気だと考えられているからです。現在、国内では、糖尿病、高血圧、悪性新生物(がん)などの生活習慣病が患者数の上位を占めています。発症前の段階からリスクの高い人を見つけて生活指導を行い、早期発見、治療する体制が整備されています。

 

一方で、依存症という進行性の病気には、そうした予備群のスクリーニングや早期介入の仕組みが浸透しておらず、事実上放置されているのが現状です。

 

このような現実を重く受け止め、長年にわたり依存症の治療に携わってきた、三光病院の海野順院長が昨秋、著書を出版しました。本書は、依存症を「特別な誰かの問題」としてではなく、現代社会に生きる私たちの”心の仕組み“として描かれています。アルコール、ギャンブル、買い物、ゲーム、スマホなど、さまざまな依存症にまつわるエピソードとともに、現代人が抱える心の問題を見つめ直すきっかけを与えてくれます。

 

書籍案内
「新国民病 ”一人癒やし“としての依存症」(幻冬舎)

著:海野 順(精神科医)
出版社:幻冬舎
発売日:令和7年11月25日
定価:1,760円(税込)
取扱い:県内書店/Amazon ほか

【こんな方に読んでほしい】
・スマホやゲーム、買い物などがやめられず困っている方
・お酒やギャンブルが心配になってきた方
・家族や身近な人の依存が気になっている方
・医療・福祉・教育などの現場で支援に関わる方
・「依存症」について、正しく知りたい方

 

現在、WEBナイスタウンにて、海野順さん著書の読者プレゼントを実施中です。この機会にぜひご応募ください。

 

 

 

DATA

医療法人社団 光風会 三光病院
住所:香川県高松市牟礼町原883-1 MAP>>
TEL:087-845-3301
FAX:087-845-6822
診察時間:9:00~12:00(午前)、13:15~17:00(午後)※水曜夜診17:00~19:00
定休日:土曜午後・日曜・祝日
駐車場:あり
HP:https://www.sanko-hp.com
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